児島 善三郎 (こじま ぜんざぶろう) (1893〜1962)

「菊」 油彩 65.2×53.0cm


太い輪郭線で囲まれた菊の花、装飾的に描かれたテーブルや花瓶など、その独特の画風が印象的な児島善三郎の<菊>。彼の画風は、日本独自の油絵を描くため、様々な工夫が重ねられ、確立されていったものです。
大正14年(1925)から約3年間の滞仏の後、「日本人の油絵」を描くことを自らの絵画精神とし、日本絵画の伝統的な様式を作品の中に取り込むなどの工夫が試みられました。その結果、西洋的な立体表現に見切りをつけ、様式化、装飾化した平面描写を全面に出した作風となりました。
しかしある時期、西洋画の基本である写実からあまりにもかけ離れたことに疑問を持つようになり、装飾性を残しながらも、写実を根底とした画風へと変化していきました。
この作品<菊>では、花や花瓶、テーブルを平面的に描いているのに対し、葉の部分は、近景、中景、遠景それぞれ色を使い分け、画面に奥行を持たせています。そして背景のピンクで全体を中和し、みごとにバランスを保っています。
立体と平面の微妙な均衡が、この絵の最大の魅力のひとつといえるでしょう。
また、二次元と三次元を同一画面にねじ込んだような手法は、児島の花の連作に数多く見られるもので、彼の表現探求の足跡ともいえます。

参考文献
「生誕100年記念 児島善三郎展」 生誕100年記念児島善三郎展実行委員会 1993
fudetarou
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